ゴルフ

推理作家協会親睦ゴルフコンペ

稲葉稔

 五月二十日、武蔵丘GCにおいて、アウト三組、イン二組に分かれてスタート。
 天候の崩れが心配されたが、全組予報の雨に祟られることもなく無事にホールアウトできました。めでたしめでたし。おっと、これで原稿を終わるわけにはいかないので、もう少しつづけます。
 わたしはインコースからのスタートで、同伴者は「のむちゃん」こと集英社の野村氏、「池文」こと文春の池田氏、「大ちゃん」こと角川の榊原氏の三人。
 わたしは三月からスイング改造に取り込んでいて、その成果を試す日だったが、朝から痛風発作の前兆期を感じていて、ヒヤヒヤものでティショットを放つ。
 おお、うまくいった。この調子だと思って、ほぼ順調に各ホールを消化していく。大ちゃんは、調子がいまひとつあがらず、右へ左へと忙しい。
 のむちゃんは、コツコツ刻みながらの固いゴルフで大崩れしない。そのスイングはPGAの名選手・ジム・フューリックばりである。
池文はチーピンの連続で、「あれ、どうしたの?」って感じ。あたれば飛ぶんだけど、心で泣いて顔で笑ってのラウンド。
 キャディの横山さんは新潟生まれの飯能育ち。いまも両親と同居中。ただし、お昼のお弁当はお手製である。物静かなキャディで、なかなかジョークが伝わらない。ちなみに横山さんは独身だが、彼氏はいる。(なんでおれが知っているのだ?)
 それより、池文と大ちゃんが、右へ左へと飛ばし(曲げるともいうが)まくるから、そっちに忙しくてジョークに付き合えなかったのか。
 池文が切れた! それはムーミンバレパークに隣接する十四番ホールでのこと。隣ではアトラクションをやっているらしく、歓声や音楽がうるさい。池文、怒ったか、そっちにドライバーショットを放った。
「ファー!」
 全員で声を張りあげ、注意をうながすが、白球はむなしく林のなかへ、さようなら。当然、ムーミンのほうに届く距離ではない。
「OBです。前進四打にしましょう」
 冷静なキャディの横山さんは、顔色ひとつ変えずにのたまう。池文もあっさりあきらめる。もちろんわざとそっちへ打ったのではない。たまたま(始終か?)右へ飛んでしまったのだ。
 他人のことばかりはいっておれんわたしは、わりと順調だったが、十六番のロングでまさかの四パットのダボ。これでリズムが狂ったか、つづく十七番は川越の名物ホール。「飯能なのに川越」と、ジョークをいうのはのむちゃん。
 その名物ホールでのわたしの第一打は、右の土手、深いラフ。サンドで出そうとしたが失敗して、五メートルしか進まず、またラフ。ここで欲を出して、五番アイアインを振るが、あえなく川のなかにドボン。結局、トリプルボギー。よし、後半は巻き返しだと思うも、なかなか思いどおりにいかない。
 八番のショートに来たらピンそばにフラッグが立っている。なんと、ゴルフを始めて間もない柚月裕子女史がピンそばに寄せたのだ。同伴の大沢在昌氏がバディーを取れるようにパターの指導をするが、残念パー。それでも本人は、人生初のパーに歓喜。ニアピン賞もゲット!
 わたしは終わってみれば、普段と変わらないスコアに反省しきりであったが、なんとベスグロ優勝が転がり込んできて、この原稿を書くはめになった(笑)
 ついでに長年幹事を務めていた楡周平氏に代わって、わたしが幹事の大役を仰せつかった。楡さんご苦労様でした。
 そんなわけで、次回からの親睦ゴルフコンペはわたしが幹事です。ゴルフを嗜んでいる、あるいは興味があるという方は、どんどん参加してください。
 下手でもよいのです。初心者でもよいのです。何にも怖くありません。ゴルフは噛みつきません。「エンジョイ! ゴルフ」がモットーの親睦コンペです。近年、作家の参加者が少ないので、是非とも多くの参加を望みます。