一般社団法人日本推理作家協会

推理作家協会賞

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  • 長編及び連作短編集部門愚者の毒宇佐美まこと
  • 短編部門黄昏薬丸岳
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1957年 第10回 日本推理作家協会賞

1957年 第10回 日本推理作家協会賞
受賞作

かお

受賞者:松本清張(まつもとせいちょう)

選考

以下の選評では、候補となった作品の趣向を明かしている場合があります。
ご了承おきの上、ご覧下さい。

選考経過

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 昭和三十二年度、日本探偵作家クラブ賞は、去る二月二十四日午後五時より江戸川乱歩氏邸にて、クラブ賞選考委員会を開催されました。
 席上、松本清張氏の「顔」講談社刊が、委員の圧倒的支持で入賞と決定しました。他に渡辺啓助氏「血笑島にて」角田喜久雄氏「悪魔のような女」鮎川哲也氏の「黒いトランク」等も有力な候補として議題にのぼりました。
 当日出席委員(到着順、敬称略)江戸川乱歩、香山滋、大下宇陀児、大坪砂男、日影丈吉、城昌幸、山田風太郎、角田喜久雄、島田一男、中島河太郎、永瀬春吾、木々高太郎、朝山蜻一
 右の結果、授賞式は、三月六日(水曜日)午後五時半より虎ノ門版翠軒ホールで挙行された。
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その他

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 今回は都合で日を三月六日(水曜日)とし、虎ノ門、晩翠軒喫茶部ホールで午後五時半から開催されました。
 はじめに、幹事長、大坪砂男氏が立って、二月例会及クラブ賞授賞式を開催する旨の挨拶がありました。そして会長木々高太郎氏の発言を求められました。
 会長木々高太郎氏は、当日の受賞者として正面の席に居る松本清張氏に本賞及副賞を授与し、一同の拍手と各雑誌社、報道関係の撮影が行われました。ついで木々氏は、委員会の選考状況を話され、「顔」は松本氏の最近の探偵小説集であり、篇中の「張込み」をよいとする人、「顔」をよいとする人があり、盛に議論されたが、結局、「顔」その他として圧倒的な支持により、全会一致で授賞と決定した事、松本氏が純文学で既に芥川賞の受賞者である上に、探偵小説にも独特な境地を作り上げていることに敬意を表したい、と結びました。
 ついで、江戸川乱歩氏が立ち、氏の主唱で盛な乾盃が行われました。それから江戸川氏の挨拶となり探偵小説的な心の濃厚である松本氏の作風を買う、という事、授賞価値充分として推薦したと述べ、今後、一層探偵小説へ努力される事を望み、これから本格的な長編小説の執筆を期待すると結びました。
 次に立った副会長の角田喜久雄氏は、松本氏に会うのは今日が始めてだが、「顔」を読んだ時は、すぐ手紙を書いて出したほどで第一印象としてフレッシュだという事を強く感じた。近年の委員会で、全員一致でクラブ賞を決定した事は珍らしい、今後は特に、探偵小説として充分陶酔出来るようなものを是非書いていただきたい、と述べられました。
 次に、長沼弘毅氏は、クラブ以外の作家にクラブ賞を与えた事は、探偵作家クラブとして大いに賞讃してよいことで、第二のグレアムグリーンになって日本の探偵小説界に貢献される事を望む、と云われました。
 中島河太郎氏は、松本氏の初期の作では、三田文学にのった「火の記憶」を読んで感銘した事がある。昨年から探偵小説を書き始められた事は、大いによろこばしい事です、と挨拶されました。
 渡辺啓助氏は、決定委員会には、やむをえない事情で欠席したが、文書で松本氏を推薦した。特に「張込み」がよく、魅惑された、と云われました。
 高木彬光氏は、クラブの若返りとして、松本氏に授賞した事は、大いに刺激を与えるものとして賛成である、と云われ
 永瀬三吾氏の挨拶は、純文学の作家が、このように、探偵小説としても立派なものを、多く書かれた事に敬意を表する意味で推薦した、という意味のものでした。
 ついで木々氏が立って、今井達夫氏が出席されているので、一言挨拶をとの言葉に、今井氏は、松本氏とはマージャン仲間として、氏の授賞を喜こび出席した、探偵作家クラブには三年目に出て来た、と挨拶しました。
 大坪砂男氏は、松本氏の「顔」の業績は、大へんなファインプレーで、心から祝福したい、と云われました。
 また吉田与志雄氏は、探偵小説としても純文学としても、新しい分野を開いたものとして敬意を表すると挨拶しました。ついで、松本清張氏が立って、諸先生から、大へん好意を持った言葉をいただいて有難う存じます。探偵小説には古くから興味があり、新青年時代からのファンであった事、はじめは小説を書く気持ちはなかったが、週刊朝日の懸賞に応募したのが最初で、その時、木々氏の推理小説文学論を読み、感銘したので、「火の恐怖」を、木々氏に送ったのが、探偵小説を書いたはじめてのものであった。と答辞を述べられました。
 ついで、講談社の梶氏、山田風太郎氏、「探偵実話」の土田喜三氏、「探偵倶楽部」の今井氏、春陽堂の浅見武蔵氏「宝石」の神尾重砲氏、田辺南鶴氏、長谷川卓也氏、ニュース映画の松崎氏、千代有三氏、木村登氏、九鬼紫郎氏、日影丈吉氏、大河内常平氏、朝山蜻一氏などのスピーチ、文芸評論社からの祝電があってめでたく祝辞が終り、ビール、食事等をして、盛会裡に散会しました。
 出席者(順不同、敬称略、書落しが二三ありましてお詫びします)
 角田喜久雄、田中潤司、中島河太郎、鷲尾三郎、千代有三、清水正二郎、永瀬三吾、天地一雄、江戸川乱歩、近藤康治、探偵倶楽部今井、厚木淳、長谷川修二、長沼弘毅、夢座海二、山村正夫、工藤武彦、吉田与志雄、佐藤宏、土田喜三、大河内常平、平出禾、木々高太郎、田辺南鶴、吉野賛十、宇野利泰、大坪砂男、日影丈吉、松本清張、高木彬光、田村良宏、渡辺啓助、小川高子、長谷川卓也、浅見武蔵、青木義久、神尾重砲、永松浅造、九鬼紫郎、山村光介、木村登、椿八郎、朝山蜻一
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選考委員

候補作

[ 候補 ]第10回 日本推理作家協会賞   
『血笑島にて』 渡辺啓助
[ 候補 ]第10回 日本推理作家協会賞   
『悪魔のような女』 角田喜久雄
[ 候補 ]第10回 日本推理作家協会賞   
『黒いトランク』 鮎川哲也(中川透)