ゴルフ

二重の喜び。第33回ゴルフ大会

角川書店 三宅信哉

 有難うございます! 4月23日に武蔵丘ゴルフコースで開催された推理作家協会ゴルフ大会で(まぐれではありますが)優勝出来たことは、わたくしにとって二重の喜びでした。
 ひとつめは大会の回数が33回目であったことです。この番号はわたくしが盲目的に敬愛するミスターGこと長嶋氏の監督時代の背番号と同じです。日々注いでいるジャイアンツ愛が伝わったと思え、ひとり目を潤ませておりました。
 もうひとつは優勝の賞品としていただいた豪華カタログギフトです。もちろん妻に即座に献上しました。するとどうでしょう、口角が上がり目尻が下がっているではないですか。いわゆる笑顔です。このような顔を見るのは、おぼろげではありますが約3ヶ月ぶりかと思われます。大きな驚きと達成感に、わたくしの心は満たされました。しかし同時に防衛本能が警告を鳴らします。調子に乗ってはダメだ。好事魔多しというではないか。自慢や恩を着せるようなことは決して口にせず、静かに自室に下がりました。そして再びひとり目を潤ませたのです。(ちなみに高級食材を取り寄せたようなのですが、わたくしの口には入りませんでした)
 このような幸せをもたらしてくれましたのは、まずは幹事として素晴らしい会を運営してくれた楡周平さんです。当日は快晴。前日も翌日も雨なのに、この日だけが見事晴れ渡りました。楡さんをはじめとする関係者の日頃の行いの良さの賜でしょう。
 楡さんとは同じ組で回らせてもいただきました。いつもながら気持ちの良いゴルフで、引っぱられるように伸び伸びとラウンドできました。また、名人芸のようなアプローチを連発されていた高野正良さん、非常に美しいドライバーのスイングを見せてくれた嵯峨野晶さんにも感謝するばかりです。終始笑いと好ショットが絶えない一日でした。
 最後にこの日で忘れられない光景をひとつ。ドラコンの7番ホール。偶然にも良い当たりをしたわたくしのボールはなんとかフェアウェイに留まり、一組目であったことから旗を立てることができました。その後も順調に進み満足のボギー。そこで自分が立てたドラコンの旗をもう一度見て気持ちよく次のホールに向かおうとしました。するとどうでしょう、フェアウェイ各所で、次組の方々が待っているではないですか。わたくしがセカンドショットを打った地点よりも20ヤードから50ヤードはグリーンに近く、しかも4名全員です。一番飛んでいた伊集院さんにいたっては、その表情がはっきり確認できるほど近くにいます。もちろんわたくしが立てた旗はどこを捜しても見当たりません。7分間だけのドラコン一位でした。