訃報

名誉会員・勝目梓氏

 名誉会員の勝目梓氏が三月三日心筋梗塞のため亡くなられた。八十七歳。勝目氏は一九三二年東京生まれ。小学生のころ、母方の郷里である鹿児島市に移住。鹿児島県立伊集院高等学校中退。長崎県の炭鉱で六年間勤務。六四年に上京し、同人誌「文芸首都」に加わる。六七年に「マイ・カアニヴァル」で第五八回芥川賞、六九年に「花を捧げて」で第六一回直木賞候補になった。その間、業界誌記者、トラック運転手、雑誌編集者、校正者などさまざまな職業に従事した。
 「寝台の方舟」(七四年)で第二十二回小説現代新人賞を受賞。サスペンス小説「獣たちの熱い眠り」(七八年)がベストセラーを記録し、一躍人気作家となった。アクション小説、官能小説、時代小説なども手がけた。アクションを激化させたバイオレンス小説をヒットさせ、このジャンルを牽引する一人となった。「倒錯者」(九八年)など性愛小説にも定評がある。自伝的長編小説「小説家」(〇六年)も話題を呼んだ。
 第五十回(九七年)、第五十一回(九八年)の協会賞選考委員(当時は三部門兼任)を務めた。