ゴルフ

”ため口力”に助けられ

江口順一

 去る11月27日に第37回日本推理作家協会主催のゴルフコンペが姉ヶ崎カントリー倶楽部で行われた。全く予想外の結果であったが、優勝してしまったのでひと言。
 同伴者はぼやきが天下一品の真保裕一さん、常に一打一打に気づきを発見する講談社の里村孝人さん、叩いてもいつも冷静なKADOKAWAの榊原大祐さん。
 最近ようやく冬の寒さが厳しくなってきたが、当日はなんと半袖の陽気。メンバーに天候にと背中を押され、また、自己申告制のハンデキャップにも助けられての、まさかの結果であったが、一番の功労者(?)は後半交代して現れたキャディの潤間(うるま)ちゃんである。
 「潤間っていうから、やっぱり沖縄出身?」「チバ」。
 榊原さんがOBゾーンに打ち込むと「マジか!」。
 真保さんのパットがオーバーすると「つえーよ!」。
 完璧なため口。しかもかなり失礼なため口。
 しかしかわいい。二十歳。銀座というより新宿。引退した安室ちゃんをちょっと彷彿させるが、人は見かけによらぬもの。グリーンでのラインを読む目はかなり確かだった。さらに、ちょっと長いパットを決めようものなら、「すごいじゃん!」。
 そう、いつだって、ため口。
 私はこれを“ため口力”と名付けたい。潤間ちゃんのため口力にすっかり癒され、背中を押され、勇気づけられ、リラックスしてゴルフができた結果の優勝であると思っている。
 ちなみに大沢在昌さんは前半38で回ってきた。このままでは主催者側が優勝してしまうと、後半のショートホールで9打を叩いて大人の調整をなされたことも一応記しておきたい。
 是非次回も姉ヶ崎カントリー倶楽部で、そして潤間ちゃんが在籍していることを願ってやまない。
 さて今回は6組23名が参加した。柚月裕子さんが初参加されたが、年々ゴルフをなさる作家は減っている。というか増えていないと言った方がいいかもしれない。
 弊社のことで恐縮であるが、ゴルフコンペSPGは昨年秋の開催で112回を迎えた。しかし高齢化が進み、不参加となる方が徐々に増えてきた。残念なことである。
 私ごときが不遜ではあるが、是非若い作家の方々にもゴルフを始めてほしい。何がいいって、酒が減る。年々アルコールへの耐性が弱ってきたせいもあるが、ゴルフの前日は宴席を極力入れないように努めている。早寝早起きである。
 楡周平さんの場合は早寝早起きという概念を超越している。普段は夜9時頃布団に入るそうだ。ゴルフの日には2時半に起きる。夜中である。そして1時間半ほど、愛犬の散歩を済ませてからのゴルフだとおっしゃっていた。
 しっかり見習って次回のコンペに備えようと思う。