ハガキ随想

ハガキ随想

飛鳥高

 老人ホームに入居して三年半になります。さまざまな人生の終焉を見ます。遙か昔のフランス映画、名優ルイ・ジューベ演ずる「旅路の果て」を思い出しますが、ここでのそれは悲しい位静かで退屈です。
 この三年半の間に論創社が私が以前書いた作品を掻き集めて三冊出版してくれました。この六月に最後の四冊目が出る予定です。拙いものでも物書きの端くれであった幸せを感じています。
 これが私の旅路の果てでせうか。