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南部さん、ご指名ありがとうございます。
実は数年前から二枚爪で悩んでいる。爪の先が白くなって、上の層だけが浮いて割れたり、または逆に、下の柔らかい層が破れたりする。薄くなったところから切るしかないのだが、やがて深爪になるほど悪化した。
「爪切りは使わないでくださいね。余計に傷みますから」
ネイルケア用品を扱っている店に行って相談したら、爪は専用の「ヤスリ」で整えるようにと言われた。言われた通りに、ヤスリでゴシゴシやるようになったが、それでも症状に改善が見られない。それどころか、最初は一、二本の指の爪だけだったものが、だんだん他の指にまで増えてきている。
「爪が薄いんですよね。だから、ペラッとしなっちゃって、傷みやすいんです。こういう爪の方は、必ずマニキュアをしてください」
同じ店に行くと、今度はそう言われた。つまり、薄い爪を補強するためにマニキュアが欠かせないというのである。また言われた通りにマニキュアを欠かさなくなったが、それでも二枚爪そのものが治るわけではなく、せっかくきれいに塗った爪の先から、ペリッ、ペリッと破けていく。
「昔は爪のことなんかで悩んだことなかったはずなのに」
ついに自分ではどうすることも出来なくなって、ネイル・クリニックに駆け込んだ。私と同年代とおぼしき店の人は、気の毒そうに「そろそろ老化現象、ですかね」と言った。
ひと頃は、弱い爪を補強するために、樹脂のようなものをのせてもらっていたが、そういうことをすると、もっと爪が弱ると教わってからは、紙のように薄い爪を、何とかマニキュアだけで補強し、割れた部分には専用の接着剤などを流し込んでもらう。それでも、濡れてふやければすぐに「破れる」し、パソコンのキーボードを叩いているだけで、ヘニョヘニョ割れていくのである。情けないことこの上もない。マニキュアそのものも長持ちしない。爪がしなれば、自然に割れ落ちてしまうのだ。みっともない。実に厄介なことになったものである。
何日かに一度は、爪を見て憂鬱になる。でも、まあ、病気というわけでもないし、眠れなくなるほどまで気に病んでいるというわけでもない。日常はしごく淡々と過ぎていく。
ところで何カ月か前、とある納豆に出会った。元来、納豆好きな私は、思いつくと新しい銘柄を試してみたりするのが好きだったが、あるとき偶然、手にした納豆の旨さに驚いてしまった。まず、豆が柔らかくてふっくらしている。そのくせ粘りは強く、箸の先や口元に残った糸が、いつまでもふわふわと漂っていたりするくらいに、しっかりしているのだ。添付の無添加タレも醤油辛くなくて風味が良い。以来、私は一日も欠かさずに、その納豆を食べるようになった。売っている店は限られており、なくなると不安だから、常に買い溜めを欠かさない。会う人ごとに、その納豆のことを自慢している。
つまり、朝でも昼でも、家にいる限りはお気に入りの納豆をぐりぐりとかき回して食べているのが私の日常。ところが、ふと気がつくと最近、爪が割れにくくなってきた。何よりもマニキュアの「もち」が良い。
「少し、爪が厚くなってきましたね。何か、思い当たることがありますか?」
ネイル・クリニックでも言われるようになった。色々と考えた結果、思い当たったことといったら、納豆だけである。そのことを言うと、店の女の子も「納豆ですか」と目を丸くした。
このまま納豆を食べ続けていると、あと半年もすれば、丈夫な爪に戻れるのではないか、とこの頃は密かに期待している。
というわけで、次回は藤子不二雄(A)氏にお願いしたいのですが。うんと昔、すぐご近所に住んでいたよしみで。
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